文化財
高松塚の保存方針決定
石室の解体修理

先月号では高松塚古墳壁画の保存対策案について紹介してきましたが、その保存方針が決まりましたのでお知らせします。

これまで高松塚古墳壁画の現状とその保存対策案について紹介してきましたが、平成17年6月27日に文化庁が開催した「国宝高松塚古墳壁画恒久保存対策検討会」において、保存方針が決定いたしました。
それは第四案の石室の解体修理を行うというものです。

各案については、検討会でも議論されましたが、実質的な効果や実現性について検討してみると、先月号でも第四案の石室解体修理案を除いては方法がないというのが実情です。
検討会で特に問題となったのは、特別史跡である高松塚古墳を壁画保存のために掘削をしても良いのかという点と、石室の解体修理を安全に行えるのかという点でした。

高松塚古墳壁画は国宝ですが、この壁画を包み込んでいる墳丘は特別史跡に指定されています。
つまり数ある古墳の中でも特に重要なものとして、国が保存していくものです。
しかし、先々月号でも紹介したように、壁画をこのまま現地に置いていては、漆喰の劣化やカビの発生などは抑えることができません。
これまでに応急的な処置はしてきましたが、高松塚古墳壁画をこれからも守っていくためには、壁画や漆喰層・石材を修理・強化する必要があり、この作業をするには解体修理しか方法がないのです。
しかし、一時的にせよ石室を解体し、取り出すためには墳丘の一部を掘削しなくてはなりません。
壁画を守るためには他に手段がなく、苦渋の決断でした。

では、石室の解体は安全に出来るのでしょうか?
これを確かめるために、実際に高松塚古墳の石室と同じ大きさの石室を凝灰岩で制作し、これを持ち上げ移動する実験を行いました。
当然、このような実験は何度も繰り返して、より安全で確実な方法を確立していく必要がありますが、今回の実験によって石材の移動は技術的には可能であることはわかりました。

解体修理の具体的な工程は、まず、解体後の石室を修理する修理施設を建設しなければなりません。
その建設場所は明日香村内であることは決まっていますが、具体的な場所は確定していません。
壁画は実物大の模型一時的に古墳から離れますが、壁画はやはり古墳と共にあってこそ高松塚古墳壁画ですので、古墳の近くに修理施設は建ててもらいたいものです。
修理施設が完成した後に、墳丘を上から掘削し、石室を露出させ、石室を解体・移動をします。
そこから修理施設に運びこみ、壁画面を上向きにつり上げ実験して保存修理を開始します。
この修理が完了するまでには10年以上の期間が必要とされますので、修理期間中の壁画や修理の様子などを見学できる方法を模索するべきです。
修理が終わった石室は再び墳丘の元の位置に戻す方針です。
この際、墳丘の中に保存環境を確保した施設を埋め込む必移動実験要があります。

検討会ではこのような議論を経て、石室の解体修理以外、壁画を守る手段がないと判断しました。

このような保存方針がでた今、私たちはこれからの保存修理作業が安全で万全な対策のもとで行われることを見守っていく必要があり、そして、村民・国民を含めた多くの人々で今後の高松塚古墳について、さらに、壁画の公開・活用について考えていかなければなりません。

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