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今回は、古代における「モノ」の製作技術の一つとして、瓦を例に挙げ、簡単に述べてみたいと思います。\
仏教が本格的に伝えられた飛鳥の地には、最初の本格的な寺院である飛鳥寺が建立されました。寺院の屋根を飾るのは、様々な瓦です。飛鳥寺の場合、百済の地から瓦博士をはじめとする様々な技術者がやってきて、寺院建立を先導したと考えられています。
瓦には丸瓦や、平瓦、軒丸瓦、軒平瓦、鬼瓦など、様々な種類がありますが、今回は、軒平瓦・平瓦、軒丸瓦・丸瓦にしぼって、その作り方を見ていきたいと思います。
丸瓦の場合、円筒の形をした木の型に、布の袋をかぶせ、そこに材料の粘土をまきつけます。平瓦は、模骨と呼ばれる桶に布をかぶせ、板状の粘土をまきつけます(図1の(1)・(2))。次に、叩き板と呼ばれる板で、粘土を叩き、締めます(図1の(3))。そして、型から離した瓦を、二枚、四枚にそれぞれ分割します(図1の(4))。こうしてできあがった瓦は、窯に入れられ、焼かれます。
軒丸瓦や、軒平瓦は、このようにして作られた、丸瓦・平瓦に、瓦当と呼ばれる部分を接合して作られるものが主流を占めます。瓦当と呼ばれる部分は、主に、木に文様を施したものに粘土を押し付けて作られていると考えられています。これら文様が施された型を、笵型と呼んでいます(図1の(6))。笵型によって作られた瓦当部を本体に接合し、軒丸瓦、軒平瓦ができあがります(図1の(7))。このようにして作られた瓦が、古代寺院の屋根を飾ることになります(図1の(8))。
これら瓦の製作技術の解明は、それぞれの寺院に葺かれた瓦が、どういった製作集団によって作られていたのか、またそれらの製作集団がどういった社会的要請によって成立したのか等の課題を考える上で、基本的な研究になります。また、瓦を焼き上げる窯の型なども、瓦製作集団同士の関係を考える上で重要な要素となります。こういった研究によって、より豊かな飛鳥時代像が解明されていくのです。
図 1 瓦の製作工程
潮見 浩1988「図解 技術の考古学」有斐閣より引用
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