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飛鳥地域出土埴輪の一例
はじめに

広報誌上では、これまでに、酒船石遺跡の範囲確認調査を行った際、石見型盾形埴輪が出土したことについて、簡単に述べたことがあります。今回は、その後、酒船石遺跡から出土した遺物の整理作業を進めるにつれて、明らかとなってきた埴輪の様相について紹介したいと思います。

埴輪とは

そもそも埴輪とは一体何でしょうか。埴輪とは、簡単に述べるならば、古墳時代に作られた、お墓に廻らされる土でできた焼き物のことです。埴輪には、大きく分けて丸い筒のような形をした円筒埴輪と、当時の様々なものをかたどって作られた、形象埴輪があります。作られた時期で考えるならば、円筒埴輪がまず作られ、やや遅れて形象埴輪が作られ始めます。これらの埴輪は、どちらかが出現し、消えてからもう一方のものが出現するといったものではなく、両者が形や大きさや種類を変えて、古墳時代を通して、作られ続けました。

先に作られ始めるのは、円筒埴輪です。円筒埴輪は、古墳時代に突然作られ始めるのではなく、弥生時代に作られていた、特殊器台と呼ばれる筒のような形をした土器が変化していったものと考えられています。次に形象埴輪が作られ始めますが、形象埴輪には、当時の盾や家、武器や武具などの器財をかたどったものや、人物・動物などをかたどったものがあります。

円筒埴輪は、その製作される時間的なスパンが比較的短いことから、古墳がいつごろ作られたのか、指標の1つにされることが多いものです。また形象埴輪は、古墳時代人が、どのような習俗をもち、どのような家に住み、生活していたのかを探るのに、あるいは、古墳における祭式がどのようなものであったのかなどを考える上で、重要な情報をもたらしてくれます。

酒船石遺跡出土の埴輪

酒船石遺跡の発掘調査では、わずかながらに埴輪が出土することが知られていました。最も多くの量と種類が出土したのは、第24次調査です。

この調査では、円筒埴輪の他、盾形埴輪・石見型盾形埴輪・ユギ形埴輪・蓋形埴輪・家形埴輪・馬形埴輪などが出土しました。これまでの酒船石遺跡出土の埴輪の中では群を抜いた種類の豊富さと量でした。これらの埴輪は、6世紀前半ごろに作られたものと思われます。

また、この埴輪が出土した調査区の隣接地には、字「コンニャク塚」と呼ばれる古墳状に隆起した丘陵があり、これが古墳である可能性をもっています。

まとめ

今回、酒船石遺跡出土の埴輪について紹介しました。これらの埴輪には実に多くの種類があることがわかりました。

これまで、畿内で出土する6世紀代の埴輪の評価はそれほど高くなく、関東地方などの東日本において独自に発展したものだと考えられていました。ところが、6世紀代の大王墓級として位置づけられる大阪府今城塚古墳において、埴輪祭祀の実態が明らかになるにつれ、この時期においても埴輪祭祀が畿内を中心に成立し、広がりをみせていくという評価に変わりつつあります。

そのような埴輪祭祀をもつ古墳が飛鳥の地域にもあったことは、非常に重要な意義を持っていると思われます。

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