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明日香村発掘調査報告会2007

明日香村教育委員会

竹田遺跡(2007-4次)の調査

明日香村教育委員会

調 査 地:奈良県高市郡明日香村大字東山

調査原因:範囲確認調査

調査面積:約720㎡

調査期間:2007年6月1日~継続中

はじめに

竹田遺跡は飛鳥寺から北東へ約200mの距離にあたり、現在の八釣集落より西の狭小な丘陵部南側に所在する。南には飛鳥坐神社が、北西には中世の砦的な性格である飛鳥城がある。また南東の大字小原には藤原鎌足公誕生地や大伴夫人之墓があり、付近が中臣氏の本拠地であった可能性が考えられている。調査地のすぐ南の道路は飛鳥寺旧境内の北面大垣の延長で、そのまま東へと進むと、八釣集落を経て桜井市高家方面へと続く。小字「竹田道ヨリ北」などから、この道は「竹田道」と呼ばれていたことが窺い知れる。

『万葉集』巻三 262首に「矢釣山」を詠った歌があり、これは柿本人麿が天武天皇と藤原夫人(ぶにん・おほとじ)五百重娘(いほへのいらつめ)との間に生まれた新田部皇子に献った反歌とされ、このことから、新田部皇子の邸宅が現在の八釣集落近辺に所在した可能性が指摘されていた。

竹田遺跡の範囲確認調査は、平成18年度より実施し、これまで2006-4次調査、2006-11次調査として行った。そこでは7世紀後半を中心とした掘立柱建物群や平安時代から中世の掘立柱建物などを検出した。また、土師器、須恵器、製塩土器、黒色土器、墨書土器、瓦器、瓦、セン、鞴羽口、鉄滓、石器、石材、土馬、埴輪などの遺物も出土している。検出された建物群の中には、飛鳥地域の中でも比較的大形の柱穴をもつ建物があったことから、これらが皇族や高位高官などの邸宅である可能性が推定されてきた。

今回の調査は、前回までの調査区よりさらに西にあたり、西区360㎡、東区360㎡で設定し、合計720㎡を調査した。

主な検出遺構

今回の調査では掘立柱建物6棟、掘立柱塀1条を検出した。これらは大規模な土地造成を施して建てられている。

建物(1)

東区で検出した南北二間×東西五間以上の東西棟建物である。柱掘形の平面プランは隅丸方形で、一辺が90~100cmを測り、深さ約90cmである。柱痕跡は残存部分で、径25~30cmである。柱間は心々で240cmを測る。各柱穴の柱抜取穴からは、完形に近い砂岩切石が出土しており、柱穴の礎板石として利用されていた可能性がある。

建物(2)

東区で検出した南北一間以上×東西二間以上の建物である。柱掘形の平面プランは円形もしくは楕円形で、径約70cmを測り、深さ約20cmである。柱は全て抜き取られている。柱間は心々で1.6~1.7mを測る。

建物(3)

東区で検出した南北二間×東西二間以上の東西棟建物である。柱掘形の平面プランは隅丸方形で、一辺が約35cmで、深さ約60cmである。柱痕跡は残存部分で、径15cmを測る。柱間は心々で170~220cmであった

建物(4)

西区で検出した南北二間×東西一間以上の建物である。柱掘形の平面プランは隅丸方形で、一辺が70~90cmを測り、深さ約90cmである。柱痕跡は残存部分で、径25cmを測る。柱間は心々で210cmであった。

建物(5)

西区で検出した南北三間×東西一間以上の建物である。柱掘形の平面プランは隅丸方形もしくは楕円形で、一辺が約55~75cmを測り、深さ約50cmである。柱痕跡は残存部分で、径約15cmを測る。柱間は心々で140~155cmであった。

建物(6)

西区で検出した南北二間×東西二間以上の建物である。柱掘形の平面プランは円形もしくは楕円形で、一辺が40~50cmを測り、深さ50~55cmである。柱痕跡は残存部分で、径15~20cmを測る。柱間は心々で160cmであった。

塀(1)

西区で検出した逆L字形に折れる塀である。東西方向に三間以上、南北方向に三間以上分を検出した。柱掘形の平面プランは、隅丸方形もしくは楕円形で、一辺が75~80cmを測り、深さ約55cmで検出している。柱痕跡は残存部分で、径約15cmを測る。柱間は心々で210~220cmであった。

 

その他に、性格不明の土坑や、素掘り溝などを多数検出している。

主な検出遺構

今回の調査では、土師器、須恵器、黒色土器、瓦器、瓦、石器、石材などが出土した。

まとめ

今回は、二カ所の調査区を設けて調査を行った。その結果、飛鳥時代に遡る建物群の一部が検出された。調査区が狭く建物配置などを明確に把握することはできなかったが、前回の発掘調査によって確認した飛鳥時代後半の建物群に関連した建物である可能性が高い。前回までの調査によって、近辺に皇族や高位高官の邸宅の可能性がある建物群を検出したが、今回の調査においても、関連性の窺える建物が検出された。今回の調査地が前回の調査地よりもさらに西側に位置することから、飛鳥時代の建物群の範囲は東西約200m、南北約60mと推定される。

これまでの調査によって、飛鳥周辺の狭小な丘陵部に飛鳥時代の邸宅があった可能性が高まったことや、こういった地域での土地利用状況の一端が明らかになったことから、当時の宮都の空間構造を考える上で重要な資料を提供できたという成果が得られた。

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