明日香村

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施政方針

 令和3年明日香村議会第1回定例会において、令和3年度の当初予算、並びに諸議案をご審議頂くにあたり、村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げ、議員各位並びに村民の皆様方のご理解とご協力をお願いするものであります。
昨年当初から、世界各地に蔓延している新型コロナウイルス感染は、現在ワクチン接種は始まっているものの、未だ収束が見通せない状況となっています。国内においては、二度にわたる緊急事態宣言などにより、幅広い経済活動の停滞を招いており、雇用情勢の悪化なども続いています。
本村にあっては、一年以上にわたり村民の皆様のご理解とご協力のもと、三密回避、マスクの着用、手洗いの励行、並びに各種イベントの中止や規模縮小など、様々な感染対策を進めてまいりました。また、村内の事業者や団体の皆様方にも、様々な負担を負っていただきました。おかげ様で、現時点では村内での感染拡大は歯止めがかかっている状況にあります。ありがとうございます。
このような状況のもと、政府の進める令和3年度一般会計当初予算案の総額は106兆6,097億円で、前年度に比べ3兆9,517億円の増額となっております。国債発行額の残高は、コロナ感染対策の影響もあり、令和3年度末で990兆3,000億円となる見込みで、今後の国の取り組み如何では、自主財源に乏しい明日香村の財政運営に大きな影響を及ぼすのではと危惧しています。
さて、本村では、今年1月31日現在、人口は5,469人、高齢化比率は39.2%となっており、少子高齢化の進展、若年層の村外流出、空き家や耕作放棄地の増大、公共施設の老朽化など、従来から懸念されてきた課題が継続しています。一方、昨年1月には村で40番目の大字「檜前いおり野」が誕生し、3月には「アグリステーション飛鳥」が開設され、5月には飛鳥ナンバーの交付も始まりました。加えて、令和6年の登録を目指して「飛鳥・藤原」の世界遺産登録活動が本格化するなど、明るいきざしも見えてきています。
令和3年度の村政運営は、4月からの高齢者へのワクチン接種を始めとして、新型コロナウイルス感染症対策に優先的・機動的に取り組んでいくこととし、必要に応じて国の三次補正と連動して、補正予算編成も行ってまいる所存です。
さて、令和3年度当初予算編成にあたっては、ウイズコロナ社会、アフターコロナ社会まで含めた新型コロナウイルス感染対策の推進とともに、「第5次明日香村総合計画及び総合戦略」に掲げた将来像「いつまでも住み続けたい そう思える夢ある村」の実現に向け、関係機関と連携し、見守り支援の強化・買い物サポート・緩和ケア体制の構築など、子どもやお年寄りが安心して暮らせるむらづくりを重点的に進めてまいります。また、新庁舎建設事業や星野リゾート誘致などの重点プロジェクトを進め、あわせて「明日香まるごと博物館地域計画」に基づき、宿泊客及び観光客の増加をめざし、牽牛子塚古墳等の文化観光拠点施設を中核とした文化観光推進施策を本格的に展開し、地域の活性化につなげてまいります。その上で、個々の地域課題に対して、優先順位をつけながら一つ一つ村民目線に立って解決していくとともに、中長期的な視点に立ち、国・県・民間等との連携を深めながら、効果効率的な財政運営を進め、将来負担の軽減にも努めてまいりたいと考えています。

 

 それでは、令和3年度当初予算案の概要についてご説明いたします。一般会計の予算総額は45億3,300万円で、前年度と比べると、総務費で新庁舎建設事業の実施設計・工事費により4億6,165万円、39.0%の増、衛生費でごみ焼却炉解体事業の完了などにより1億1,017万円、29.2%の減、土木費で村道地ノ窪線道路改良事業の完了などにより5,575万円、15.7%の減となっており、一般会計全体では3億3,300万円、7.9%の増となっております。一般会計と7特別会計、水道事業会計、下水道事業会計の合計10会計を合算すると、70億18万円となり、前年度と比べると3億2,292万円、4.8%の増となっております。
それではまず、主要プロジェクトから説明させていただきます。

 新庁舎建設については、令和2年度に建設に伴う実施設計を引き続き実施し、開発等の許認可を得て、造成工事に着手するとともに、新庁舎に必要な備品の取得等に向け、準備作業を行ってまいります。また引き続き、既存公共施設の今後の利活用のあり方についての検討を加速してまいります。
産業施設の誘致については、明日香村に合った産業立地のためのゾーンとして宿泊施設や工房等を立地させるために、事業者の建設計画の進捗に併せ、引き続き地区計画の作成や開発等に関わる諸条件の調整を行ってまいります。

 

 次に総合計画の5つのテーマに分けて各種施策を説明させていただきます。
第1は「特色ある歴史的環境で次代を担う子どもが育つ村」です。
はじめに、子育て支援についてです。新型コロナウイルス感染症が長期化する中、母子の健康管理や虐待防止への対応について、保育園や幼稚園、小中学校と民生児童委員協議会などの各種団体が連携を密に図るとともに、感染予防対策を講じた子育て交流会の運営、あすかっこアプリによる情報配信の充実、子育てに係る経済的な負担の軽減などに努めてまいります。また、保育支援や放課後児童クラブの実施に加えて、「ファミサポあすか」での一時預かり利用の継続に取り組み、新型コロナウイルス感染予防に努めながら、安心して子どもを預けることができる環境の整備を引き続き行ってまいります。
教育においては、幼小中一貫教育の特色を活かした教育として、教員の相互乗入れ授業を行い、英語教育や郷土学習の充実と、少人数学級編成による一人ひとりへのきめ細かな指導を継続し、学力の向上と自立した感性豊かな子どもたちの育成を図ってまいります。

 

 第2に「万葉の地で元気にいきいきと暮らせる村」です。
はじめに、新型コロナウイルスのワクチン接種について、明日香村国民健康保険診療所や山下医院、奈良県立医科大学等と連携し、速やかな接種が可能となるよう接種体制を整備するとともに、ワクチンの情報についての周知啓発に取り組み、村民の生命と健康を守るようリスク軽減に努めてまいります。
次に、健康・医療・介護についてです。奈良県立医科大学と連携し、「あすか健康プロジェクト事業」を継続実施するとともに、高齢者が定期的に集まるふれあいサロンや各種健康教室で実施する糖尿病性腎症の予防、並びに運動、栄養、口腔内におけるフレイル予防について、専門職種の積極的な介入と訪問を行ってまいります。また、新たにがん患者の医療用補装具費用の一部助成や健診未受診者への受診勧奨等を強化し、健診の受診率の向上や医療費の適正化を図ってまいります。
さらに、社会福祉協議会と連携し、担い手であるボランティア活動の支援と育成に努めることで、多世代にわたる健康意識の高揚と社会参加の促進に繋げ、健康寿命の延伸を図ってまいります。
高齢者の日常的な生活支援については、買い物や見守り支援として、ふれあいサロン活動時の見守り支援の充実や移動支援の見直しなどに取り組んでまいります。
次に障害者福祉については、一人ひとりのニーズに応じた各種福祉サービスにおける提供体制の充実を図るとともに、保健・医療等の関係機関が連携し、支援体制の確保に努めてまいります。

 

 第3に「古都にふさわしい安全・安心で生活しやすい村」です。
はじめに道路整備についてです。国道169号の交差点改良、県道多武峰・見瀬線の島庄地区や主要地方道桜井明日香吉野線の石舞台地区のバイパス整備については、引き続き、県に働きかけを行い、早期完成を目指してまいります。既存の集落内の道路等については、地元の要望等を踏まえ、緊急度や利用状況等を勘案して整備を行うとともに、自然色舗装等の周辺景観に配慮した整備を行い、利用者がより安全・安心・快適に通行できるよう努めてまいります。
橋梁については、長寿命化を図るため、定期点検を行うとともに、点検により修繕が必要とされる橋梁については、工事等を行ってまいります。
水道事業については、安全で安定した給水を行うため、老朽管の更新工事や村内に3箇所設置している加圧ポンプの通報装置の更新等を行ってまいります。また、持続可能な水道経営を目指し、今年1月に県や関係市町等と締結した統合に向けての覚書に基づき、県域水道一体化に向け協議を進めてまいります。
次に、下水道事業については、今年度で事前に計画した下水道整備が概ね完了したことから、老朽化する下水道施設について計画的かつ効果的に調査・修繕等を行うため、下水道ストックマネジメント計画を策定し、施設の長寿命化を図ってまいります。
また、村民の生命や財産を災害から守るため、被災した場合に下流への影響が大きい防災重点ため池の耐震性を調査するとともに、県が稲渕地区や新たに細川地区で実施する急傾斜地崩壊対策事業を促進してまいります。
さらに、コロナ感染禍のもと、スーパー台風やゲリラ豪雨など、従来想定していなかったような自然災害が発生していることから、地域の実情に見合った防災・減災対策や新型コロナウイルス感染症に対応した防災訓練を実施してまいります。加えて、非常時に備え、備蓄品等の充実・強化に努めるとともに、自主防災組織の活動支援に取り組んでまいります。
ごみ処理については、飛鳥地域の広域行政連携により、令和元年度から燃えるごみの焼却処理を橿原市に委託しており、引き続きごみ処理の適正化、再資源化を進めてまいります。
公共交通については、高齢者などの外出支援を行い、住民生活の利便性の向上を図るため、乗合交通等の運行や福祉運賃の設定、バス路線の維持を引き続き行うとともに、利便性の向上に向けた四阿の設置を行います。また、交通弱者対策や観光交通の空白地帯対策として、公共交通のさらなる見直しを行うための計画案を策定してまいります。

 居住・定住については、村内の空き家に移住希望者が定住できるよう、空き家バンク制度を継続します。また、子育て世帯が住宅を新築された際の負担を軽減するための助成金の交付を引き続き行ってまいります。
雇用環境の創出については、安定的な雇用環境を創出するため、新たに人材派遣を行う特定地域づくり事業協同組合の設立や活動に対して支援を実施してまいります。

 

 第4に「古代史の舞台で交流を促し元気のある村」です。
はじめに、農業の振興についてです。昨年、50年ぶりに水稲のウンカ被害が甚大となりました。令和3年度、同様の被害を防ぐため、水稲種子の更新における支援の継続を始め、水稲共済保険の加入促進や発生情報の共有、営農指導の強化に取り組みます。また現在策定中の「明日香村農業戦略」に基づき、「農地を守る」「農業者を育てる」「農業・農地で稼ぐ」の3つの方針を意識して、明日香村地域振興公社と連携を図り、効果的・効率的に取り組みを進めてまいります。
まず、「農地を守る」の観点から、明日香村地域振興公社を主体に、農作業の受託事業を拡大し、新たな耕作放棄地の発生を防ぐとともに、耕作放棄地を解消し、世界遺産にふさわしい農村景観を創出します。公社が耕作可能な農地を維持管理することで、その後新たな担い手へと引き継げるよう努めてまいります。
次に、「農業者を育てる」の観点から、新規就農者の獲得について、農業指導者の確保や育成を行い、地域に定着した営農が行えるような体制を整備し支援してまいります。
さらに、「農業・農地で稼ぐ」の観点から、飛鳥米を中心とした農産物のブランディングを強化し商品価値を高めるとともに、いちごに次ぐ新たな産地化作物の実証を行い、稼げる農業の実現を目指してまいります。
有害獣対策については、減数対策として、猟友会と連携し捕獲を続けるとともに、防除対策として、集落診断を実施し、獣害防護柵の弱点を克服し効果を高めていけるよう新たな支援策の導入も含めて、農産物の被害軽減に努めてまいります。また、有害獣のすみかとなる荒廃化した林縁部周辺において、新たに景観・空間を利用した里山ビジネスの可能性を検討してまいります。
林業の振興については、木材価格の低迷により森林の管理や施業の放置が進んでいることから、県の森林環境税等を活用し、間伐や皆伐を行い新たに広葉樹等の植栽を実施することで防災力の強化を図るとともに、レクリエーションの場として活用できる里山の創出を進めてまいります。
商工業の振興については、商工業者が経営の合理化や近代化などを図る際に必要な資金融資に対し、債務保証料や利子に対する支援を行うとともに、Uターンや移住者などによる古民家等の改修への支援も行ってまいります。
また、チャレンジショップ事業についても、継続実施するとともに、新たに民間によるクラウドファンディングの活用に対する支援を実施し、新規創業や事業継承等の民間事業に対する各種支援についても取り組んでまいります。
観光振興については、五感で体感できる「明日香まるごと博物館」の実現に向けて、現在策定中の「明日香村観光戦略」に基づき、観光消費額・宿泊客数の向上をめざして、一般社団法人飛鳥観光協会と連携を図り、効果的・効率的に取り組みを展開してまいります。
観光受入地環境の充実については、飛鳥ハーフマラソンと併せて「食」の魅力を活かした閑散期キャンペーンを開催するとともに、世界遺産登録と連動して多様な主体による歴史文化や農業・自然などの地域資源を活用した旅行商品・体験プログラムを造成するなど多角的に取り組んでまいります。
観光情報の発信については、観光ポータルサイトやSNSを活用した魅力ある情報発信に努め、ウイズコロナ期対策として、今年は、国営飛鳥歴史公園や民間事業者等とともに、秋の明日香村をより楽しんで頂ける期間キャンペーンの実施に取り組んでまいります。
また、アフターコロナ期に重要となるインバウンド誘客については、新たに台湾市場をメインターゲットとして、中期的視点でプロモーションや旅行商品造成の取り組みを進めてまいります。
観光交流については、飛鳥光の回廊や古都飛鳥文化祭の開催を通じて、都市住民との交流促進に取り組むとともに、日本遺産などの共通テーマを持つ地域等との広域連携を進めます。加えて、日本国創生の歴史や今も残る歴史的風土などの村の魅力について臨場感を持って伝えることのできるよう、新たに閑散期や夜間に演劇や演舞などを定期的に開催する民間資金活用型で民間運営型の(仮称)飛鳥劇場の設置に向けて検討を行ってまいります。
また、2022年3月の飛鳥ハーフマラソン大会開催に向け、記念すべき第1回大会が「あすから未来」へと繋がる魅力ある大会になるよう、村民、村内観光事業者や商工業者とが一体になって安心で安全な開催を目指し、新たな明日香ファンの獲得を図ることをめざしてまいります。

 

 第5に「世界遺産登録による歴史的風土を守り活かし新たな文化をつくり出す村」です。
まず、『飛鳥・藤原』の世界遺産登録について、ユネスコへの早期申請を目指し、提出した推薦書素案について、文化庁の文化審議会の意見を踏まえて修正作業を実施するとともに、構成資産の解説板設置や気運醸成のため講演会等を実施してまいります。
また、村の文化財の価値や魅力をわかりやすく伝えるため、「見える化」「体感」を意識した文化財の保存と活用を図ってまいります。具体的には、飛鳥宮跡について、県と連携して史跡指定の追加及び公有化を促進し、整備・活用の手法を検討してまいります。あわせて飛鳥京跡苑池についても、実物展示も含めた整備の促進を働きかけてまいります。
牽牛子塚古墳等の整備については、令和3年度供用開始に向けて、隣接する越塚御門古墳との一体的な保存と活用に向け、復元整備を進めてまいります。整備後は牽牛子塚古墳の名前の由来になった「アサガオ」を使ったアサガオプロジェクトを推進させ、保存と活用に努めてまいります。また、飛鳥の歴史文化資源の「見える化」を図るため古代飛鳥を復元する手法の検証を行い、飛鳥時代を体感できるようコンテンツ等の開発を行います。さらに西明日香地域周遊の観光拠点となるよう、農業振興施設“アグリステーション飛鳥"と連動して、周辺の観光施設や地域資源とのネットワーク化を図るための準備を進めてまいります。
学術・文化・スポーツの分野については、村内在住の美術作家を中心とした展覧会「明日香の匠展」を開催するとともに、村外在住の芸術家が明日香に滞在し、作品を通して明日香村の魅力を発信する飛鳥アートビレッジの開催について検討します。また、公民館活動等を展開されている各種団体やサークル、次世代を担う子どもたちによる芸能発表を実施するなど、来訪者も含めた多世代にわたる交流ができる文化が香る村づくりを展開してまいります。
協働・連携については、「明日香座」などにより村民との協働による村づくりを推進し、大学・企業などの団体とも積極的に連携を行い、新たな発想や多様な人材を活用した村づくりを行っていきたいと考えています。


以上、令和3年度の村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げたところです。本方針に基づき、提案させて頂いた令和3年度予算案をはじめ、各議案につきましてご審議の程よろしくお願いいたします。

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