明日香村

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平成31年度 施政方針

 平成31年明日香村議会第1回定例会において、平成31年度の当初予算、並びに諸議案をご審議頂くにあたり、村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げ、議員各位及び村民の皆様方のご理解とご協力をお願いするものであります。
さて、現在、日本の経済は緩やかに回復しているとされており、各種政策の効果もあり、雇用・所得環境が改善しており、民需を中心とした景気回復が期待されています。しかし、アメリカと中国の通商問題や朝鮮半島情勢、英国のEU離脱など、今後の国際情勢は不透明で予測しづらいものとなっています。
国内においては、2020年の東京オリンピック、2025年の大阪万博の開催等に伴い、建設投資や消費の増加に加え、中長期的なインバウンド(外国人観光客)の増加が期待されています。一方で、少子高齢化が加速するとともに、介護・医療・社会保障などの課題が深刻化しています。こういった課題に対応するため、国は「一億総活躍社会」の実現を掲げ、生涯現役社会の実現に向け、高齢者雇用促進のための改革等を実現し、全世代型社会保障制度への取り組みを進めています。また、一人ひとりの人材の質を高める「人づくり革命」と、成長戦略の核となる「生産性革命」に最優先で取り組むとしています。
国の平成31年度一般会計予算案の総額は101兆4,571億円で、前年度に比べ3兆7,443億円の増額となっており、7年連続で過去最大を更新しました。しかし、国債発行額の残高は平成30年度末で880兆円となる見込みで、今後の国の歳出改革の取り組み如何では、自主財源の乏しい村の財政運営に大きな影響を及ぼすと懸念されます。
さて、本村においては、今年2月28日現在、人口は5,570人、高齢化比率は37.8%となっており、少子高齢化の進行、若年層の村外流出、空き家や耕作放棄地の増大など、従来から懸念されてきた課題が継続しています。このような課題に対して、昨年は、阪合地区の住宅開発事業が完成し入居が始まっており、村で40番目の大字「檜前いおり野」が誕生することとなります。また、道の駅「飛鳥」が登録され開駅し、「明日香まるごと博物館」のエントランスとして多くの来訪者が訪れています。他にも教育環境の充実を図るため、幼小中学校のLED化工事や小学校の空調機器整備を行い、懸案でありました新庁舎建設事業に係る用地買収も地権者の協力を得て目処がついてまいりました。
平成31年度は、元号が平成から新元号に変わる大きな節目となる年です。そこで、(1)新庁舎の建設、(2)産業集積ゾーンでの宿泊施設等の誘致、(3)第5次明日香村総合計画、第5次明日香村整備計画の策定及び実行準備 などを明日香村の未来にかかわる村政の重点プロジェクトとして位置づけ、その実現に向けて全力を上げて取り組むこととします。
また、平成31年度が最終年度にあたる「第4次明日香村総合計画」、「第4次明日香村整備計画」及び「明日香村人口ビジョン・総合戦略」については、これらの着実な推進を図るとともに、計画に位置付けられている施策・事業の成果や評価に取り組みます。その上で、中長期的な視点に立って財政運営を実施し、将来負担の軽減も図ってまいりたいと考えています。
それでは平成31年度当初予算の概要についてご説明いたします。一般会計の予算総額は、37億4,200万円で、前年度に比べると、総務費で5,624万円、6.5%の減、農林商工費で6,355万円、21.4%の減、諸支出金で2億1,396万円、33.7%の減、衛生費で5,198万円、23.4%の増となっており、一般会計全体では2億7,800万円、6.9%減となっておりますが、基金積立金の積み替えを除くと前年度とほぼ同規模の予算となっています。一般会計と7特別会計、水道事業会計、下水道事業会計の合計10会計を合算すると、62億2,835万円となり、前年度と比べると1億6,249万円、2.5%の減少となっております。
それではまず、主要プロジェクトから説明させていただきます。
新庁舎建設については、現在作成中の基本設計をもとに、市街化調整区域での立地を進めるための地区計画の作成や用地取得に係る土地収用法の事業認定手続きなど開発等に関わる諸条件の整理と実施設計・工事施工の発注に向けた準備を行ってまいります。また、新庁舎建設と併せ、既存公共施設の今後の利活用のあり方の検討を行ってまいります。
宿泊施設等の誘致については、星野リゾートの建設計画の進捗に併せ、立地に必要な地区計画の作成や開発等に関わる諸条件の調整を行ってまいります。
第5次明日香村整備計画の策定については、国土交通省による社会資本整備審議会明日香村小委員会での議論をふまえ、2020年度から10年間の新たな整備計画を県に策定していただくことになりますが、その際、歴史的風土創造的活用事業交付金の継続、高松塚古墳壁画公開施設の整備、飛鳥宮跡・飛鳥京跡苑池の整備、村の活性化に必要な土地利用の規制緩和、並びに「飛鳥・藤原の世界遺産登録の推進」などを盛り込むよう、国・県・「飛鳥議連」等に強く働きかけてまいります。併せて、10年間の村づくりの基本方針を示す、第5次明日香村総合計画を策定し、村民の皆様の理解や協力を得るとともに、国等への働きかけに用いてまいります。

 

 次にその他の施策について、5つのテーマに分けて説明させていただきます。
第1は「第4次整備計画事業の推進」です。
まず道路整備については、国道169号線の交差点改良、県道橿原神宮東口停車場・飛鳥線の電線類(飛鳥地区)地中化事業、県道多武峰見瀬線(島庄地区)主要地方道桜井明日香吉野線の石舞台地区の狭隘部の解消に向けたバイパス整備を奈良県に働きかけるとともに、村道地ノ窪線の道路改良事業の早期完成を目指してまいります。また、生活道路につきましては、地元要望を踏まえ、緊急性や老朽度合を鑑み、安全・安心に配慮しつつ、歴史的風土や周辺景観と調和した整備に努めてまいります。
次に、上水道事業については、安定した給水確保を図るため、老朽管の耐震化更新を計画的に進めてまいります。また、水道事業運営を安定的に継続するため、県域水道一体化による効率化について検討してまいります。
また、飲料水供給施設事業については、尾曽の飲料水供給施設の濾過機能の老朽化に伴う更新を実施してまいります。
また、下水道事業については、清潔で暮らしやすい生活環境の改善と、河川等の水質汚濁防止を図るため、引き続き産業集積ゾーンでの整備を推進してまいります。

 

 第2に「暮らしたくなる村づくり」です。
はじめに、公共交通については、引き続き高齢者など交通弱者の外出支援を行い、住民生活の利便性の向上を図るため、乗合交通等の運行や福祉運賃の設定、バス路線の維持を行ってまいります。
幹線道路や橋りょうについては、計画的に改修や修繕を実施し、長寿命化を図るとともに、走行環境の安全性を確保してまいります。
また、防犯力の向上を図るため、昨年に引き続き防犯カメラの設置及び防犯灯LED化に対する補助を行い、安全で安心な地域社会の実現を図ってまいります。
さらに、台風や局地的豪雨など、従来想定していなかったような自然災害が発生していることから、地域の実情に見合った防災・減災対策や自助・共助の意識を高める防災訓練を実施してまいります。加えて、非常時に備え、備蓄品等の充実・強化、並びに自主防災組織率の向上に取り組んでまいります。
ごみ処理については、飛鳥地域の広域行政連携により、4月から燃えるごみの焼却処理を橿原市に委託し、生活環境の保全と安定したごみ処理を行ってまいります。また、ストックヤードの更新に向けた基本設計を策定いたします。
次に、教育・子育てについてです。
教育においては、明日香の特色ある教育として、幼小中一貫教育、英語教育や郷土学習のさらなる充実と、少人数学級編成による一人ひとりへのきめ細かな指導を継続し、学力の向上と感性豊かな子どもたちの育成を図って参ります。また、加速度的に進行している情報技術に対応できる人材の育成を目的とした「プログラミング教育」の導入に向け、民間団体との連携準備や教職員の研修に取り組みます。
さらに、国の平成30年度補正予算における国庫補助金を活用し、幼稚園、中学校の空調機器を早期に設置してまいります。加えて給食センターの配管設備の更新や通学路における防犯灯の整備を行い、安心安全な学習環境の整備に努めます。
子育て支援策では、安心して子どもを産み、健やかに育てることができるよう、子育て世代包括支援センターを拠点とし、総合相談窓口での母子の健康管理や虐待防止への対応を行うとともに、あすかっこアプリを活用して子育てに必要な知識や子育て教室・交流会などの情報を配信するなど、包括的な支援を提供しながら、子育てに対する不安の軽減を図ってまいります。また、子育て世代の経済的な負担を軽減するため、不妊治療助成や妊産婦健診助成、多子世帯にかかる保幼小中の給食費負担軽減、幼稚園保育料等の軽減、出産お祝金や小学校・中学校への新入学児童・生徒へのお祝金の支給を引き続き実施いたします。さらに、国の動向を踏まえながら、幼児教育、一時預かり、ファミリーサポート、障害児通園施設等の無償化について検討を実施します。また、子育て家庭が安心して子どもを預け働くことができるよう、放課後児童クラブの運営に努めてまいります。
健康・介護予防については、健康寿命を延ばし、がんや循環器疾患による死亡率を改善させるため、生活習慣病の発症予防と重症化予防を図り、乳幼児期から高齢期まで生涯を通した健康づくりに取り組んでまいります。
まず、奈良県立医科大学と連携している、あすか健康プロジェクト事業による特定健診に検査項目を追加し、さらに職域を超えて相互に連携した受診勧奨や魅力ある健康ポイント制の導入に取り組んでまいります。また、健康ステーション事業を継続実施し、食生活の改善や運動習慣の取得、並びに筋肉量・筋力が低下してきた方に対しては、早期の運動プログラムとして提供するフレイル予防体操を大字等のサロン活動で実施しながら、健康づくりの支援環境を整え、多世代にわたる健康意識の向上に繋げてまいります。
次に、高齢者福祉についてです。少子高齢化の進展や家庭・地域における繋がりの希薄化などの社会情勢の変化に対応し、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を送るため、医療・健康・介護・介護予防の分野を連携させ、一体的な提供を図る地域包括ケアシステムの推進体制の強化を図ってまいります。
まず、地域包括支援センターを中心に「地域ケア会議」を開催し、医師や介護保険サービス事業所、地域福祉団体等と介護などの問題について検討し、村全体の課題として協議してまいります。さらに、認知症についての理解を深めるため、地域の人や専門職と相互に情報を共有する交流の場を創設します。
一方、病院と地域医療・介護の関係者間で、退院後、安心して在宅介護へと移行できるよう、環境を整えてまいります。また、社会福祉協議会等と連携し、村民の集いの場を拡大し、見守りや安否確認、外出支援などの日常生活の支援活動を行うとともに、福祉推進員設置により、地域で支え合う環境を整備してまいります。
障害者福祉については、障害のある人もない人も、ともに安心して暮らせる社会の実現を目指して、一人ひとりのニーズに応じた各種福祉サービス提供体制の充実を図るとともに、保健・医療・福祉関係者や保育・教育等の関係機関が連携し、その支援体制を図るための協議の場を確保してまいります。

 

  第3に「働きたくなる村づくり」です。
はじめに、居住・定住についてです。近年は社会増の傾向にあるものの、長年人口が減少しており、地域活力の維持と多様な年代が豊かに住み続けられる村づくりが喫緊の課題となっております。村内に増加する空き家に移住希望者が定住できるよう、空き家バンク制度を継続します。また、子育て世帯が本村に住み続けていただけるよう、引き続き子育て世帯の住宅新築に対して助成金を交付いたします。さらに、光ケーブル敷設やWi-Fiスポットの整備等の拡充を図るとともに、ICTの総合的・効率的な活用の検討も進めてまいります。
働く場の創出については、空き家を村の資源として考え、古民家のビジネス利用を目指して、放置された空き家の再生とビジネスチャンスの場の提供を行ってまいります。また、阪合地区公有地等住宅開発地における未入居の店舗用地については、幅広く柔軟に募集を行ってまいります。
次に、農業の振興についてです。農業従事者の高齢化や担い手の減少が進展するなか、農業の担い手の育成・支援として、農業次世代人材投資事業を活用し、新規就農者の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るとともに、地域おこし協力隊制度等の活用により、就農希望者の掘り起こしを行ってまいります。さらに、国の強い農業・担い手づくり総合支援交付金事業や村の後継者支援事業により、50歳未満の農業者が行う、農産物の生産・加工等に必要な機械や施設の改良・取得に係る経費について助成を行ってまいります。
有害獣対策については、これまでの捕獲や防御対策に加え、新たにGPSを活用して野生獣の行動調査を実施するとともに、忌避剤なども活用して、農産物の被害軽減に努めてまいります。
また、野生獣の住処となる山林と農地の荒廃した林縁部に、広葉樹林の緩衝帯を設置し、野生獣による農産物の被害軽減に努めてまいります。
林業の振興については、近年の木材価格の低迷により、森林の施業放置が進んでいることから、県の森林環境税等を活用し、間伐等の施業を行うとともに、間伐材の利用を促進してまいります。
商工業の振興については、商工業者が経営の合理化や近代化などを図る際に必要な資金融資に対して、債務保証料や利子補給などの支援を行ってまいります。

 

  第4に「魅力を磨きつづける」です。
まず、『飛鳥・藤原』の世界遺産登録については、県・橿原市・桜井市と連携して、年限をきってユネスコへの早期申請をめざすこととし、専門家のアドバイスを受けながら推薦書作成のための内容精査などを進めるとともに、日本遺産『日本国創成のとき~飛鳥を翔た女性たち~』を国内外に発信するなど、飛鳥を世界に発信する取り組みも強化してまいります。
2020年度から導入される「飛鳥ナンバー」については、近隣市町村と連携してPRを行ってまいります。さらに、「飛鳥ナンバー」の導入に合わせ、原動機付自転車の図柄入りナンバーの作成を実施してまいります。
また、村の文化財の価値や魅力をわかりやすく伝えるため、「見える化」「体感」を意識した文化財の保存と活用を図ってまいります。具体的には、飛鳥宮跡について、県と連携して史跡の追加指定及び公有化を促進し、整備・活用の手法を検討してまいります。あわせて飛鳥京跡苑池についても、露出展示も含めた整備の促進を働きかけてまいります。
牽牛子塚古墳等の整備については、牽牛子塚古墳と隣接する越塚御門古墳との一体的な保存と活用に向け、復元整備を進めてまいります。さらに西飛鳥地域周遊の観光拠点となるよう、現在建設中の農業振興施設と連動して、周辺の観光施設や地域資源とのネットワーク化を図るための準備を進めてまいります。
観光振興については、明日香村の価値や魅力を広く発信するとともに、誘客や交流を促進するため、彼岸花祭や光の回廊、古都飛鳥文化祭等を開催するとともに、観光プロモーション会への参加やインフルエンサー等を活用した情報発信に取り組んでまいります。併せて、明日香村の情報を分かりやすく効果的に伝えるため、総合パンフレットの作成や観光ポータルサイト等の情報基盤の充実を図るとともに、飛鳥観光協会と連携し、地域の観光資源を活かした着地型旅行商品の造成や体験メニューの充実を図り、周遊の促進と滞在時間の延長による観光消費の増加につなげてまいります。
また、東京オリンピックの開催などを控え、今後、増加が見込まれるインバウンドに対応するため、村内の観光事業者が行うカード決済やWi-Fiの導入経費を助成してまいります。

 

  第5に「村民及び各種団体等との協働事業」です。
活力ある村づくりをめざして、「明日香座」などにより村民との対話を進め、協働によるむらづくりを積極的に推進してまいります。あわせて、効果効率的な行政運営を継続するため、「行財政改革推進計画」を踏まえ、実効性のある組織体制づくりや健全な行財政運営に努めてまいります。
大学等との連携・協働については、大学や企業が有する人材、知識、経験等を活用し、観光、福祉、教育などの各分野での連携を深めてまいります。特に関西大学、天理大学、奈良県立医科大学、奈良県立大学、帝塚山大学、明治大学等の大学との間で、より一層効果的・継続的な取り組みを進めてまいります。
学術・文化・スポーツの分野については、村外の若手作家が村民との交流や協働により製作した作品を通じて明日香の魅力を広く発信する「飛鳥アートヴィレッジ」や、明日香ゆかりの美術家による作品展「明日香の匠展」等を開催して、村民の皆様が芸術に触れる機会を充実させ、創造性あふれる村づくりに寄与してまいります。
また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて村民はもとより国民全体のスポーツに対する興味関心が高まりつつあるなか、冬期の観光閑散期対策として、また明日香の魅力を広く発信する機会として、2020年度における村内でのハーフマラソン大会の実現をめざし、2019年度には関係機関との連携のもと、負担が少なく効果の高い大会となるよう準備作業を進めて参ります。
総合型地域スポーツクラブにつきましては、村民のスポーツ環境の整備、体力向上や健康増進に資するよう、引き続き関係機関・団体との連携並びに組織体制強化を図ってまいります。

 

 以上、平成31年度の村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げたところです。本方針に基づき、提案させて頂いた平成31年度予算案をはじめ、各議案につきましてご審議の程よろしくお願いいたします。

奈良県 明日香村公式ホームページ

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