明日香村

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平成26年度 施政方針

 平成26年明日香村議会第1回定例会において、平成26年度の予算並びに諸議案のご審議を頂くにあたり、村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げ、議員各位並びに村民の皆様のご理解とご協力をお願いするものであります。
さて、発足から一年、第二次安倍内閣においては、デフレ不況からの早期脱却と経済再生を図るため、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」を一体的に強力に推進しており、財政健全化もあわせ、種々の施策が展開されています。一方、4月から実施される消費税増税については、社会保障・税一体改革を実現し、社会保障の充実と安定を図るとされています。
国の平成26年度一般会計総額案は95兆8,823億円で、前年度と比べ3兆2,708億円の増額予算となっていますが、単年度におけるプライマリーバランスが依然図られていない状況であり、国債発行額の累計は平成25年度末で750兆円に及んでおり、国の財政状況が村政に大きな影響を及ぼす可能性が懸念されます。
次に、本村を取り巻く状況としては、人口は6,000人を切り、今年2月28日現在5,847人で、高齢化比率は33.4%となり、若年層の村外流出、空き家や耕作放棄地の増大など、従来より懸念されてきた課題がより顕在化しています。村としては、中長期的視野に立ち、新たな施策展開を機動的かつ弾力的に推進することが必要と認識しています。
平成26年度の予算編成におきましては、引き続き規律ある財政運営を堅持し、将来負担の軽減を図りながら、本村の将来像である『古都の風格を育み、住む喜びと新たな魅力を創造する』-明日香を「感じ」「知り」「守り」「育てる」むらづくり-の実現を目指し、`第4次明日香村総合計画'の着実な推進を基本とすることとしています。
特に、村民のくらしの安全安心にかかわる防災等の施策への取り組みを強化するとともに、農業・観光・定住などの施策では、より効果的な事業へと見直しを行い、また明日香村の魅力を増幅する、歴史展示、文化交流、環境施策などでは、新たな取り組みを展開していくこととし、加えて、東京国立博物館での「特別展キトラ古墳壁画」を契機として、飛鳥の魅力を国内外に広く発信していきたいと考えています。また、個々の事業に関して、課題を解決するための政策的経費や投資的経費については、その必要性や緊急性、投資効果等を十分見極め、種々の財源を確保するとともに、一層の経費節減につとめることとし、メリハリのある予算編成を行ってまいりました。
さて、本村の平成26年度当初予算案の概要につきまして、説明申し上げます。予算規模ですが、平成26年度の一般会計の予算案は、39億2,800万円で、前年度比6億2,500万円、18.9%の増となっています。また、一般会計、7特別会計及び水道事業会計の合計9会計を合算しますと、62億5,826万円となり、前年度比3億7,174万円、6.3%増となっています。

 

 初めに「第4次整備計画事業の推進」です。
道路整備については、村道地ノ窪線の道路改良並びに村道飛鳥・島庄線の電線類地中化の早期完了を目指すとともに、村民や来訪者がより安全・安心・快適に通行できるよう幹線道路から集落内道路に至るまで、計画的な道路網づくりに努めてまいります。また、歴史的風土や景観に特に配慮すべき地域においては、周辺環境との調和に配慮した整備を行ってまいります。
次に、水道事業については、効率的な運営に努めるとともに、安全で安定した水の供給を図るため、老朽化している配水池等の更新を引き続き実施してまいります。
また、下水道事業については、清潔で暮らしやすい生活環境の改善と、河川等の水質汚濁防止を図るため、引き続き事業を推進し、更なる水洗化率の向上に努めてまいります。
次に、牽牛子塚古墳等の整備については、古墳が大王墓に多く採用される八角形墳であり、終末期古墳の様相を知る上で極めて重要な遺跡であることから、隣接する越塚御門古墳との一体的な保存・活用に向け、公有化等を図ってまいります。
また、国・県に対し第4次整備計画事業の推進を求めるとともに、明日香村歴史的風土創造的活用交付金の5ケ年事業計画が平成26年度で終了することを踏まえ、平成27年度からの5ケ年計画の策定に向けて、これまでの事業成果を分析・検証し、村が抱える新たな課題や長期的な取り組みの必要事業を洗い出し、財政支援の継続・拡充を訴えてまいります。

 

 第2は「村民の安心安全な暮らしの推進」です。
初めに、環境衛生対策については、ごみ処理施設の適正な維持管理に努めるとともに、廃棄物の減量、再利用、再資源化を推進してまいります。また、し尿については、引き続き陸上処理を行い、生活環境の保全と公衆衛生の向上に努めてまいります。
次に、医療・健康づくりについては、村民の皆様方が健康で生き生きと暮らせる村づくりの実現を目指し、国保診療所及び奈良県立医科大学並びに橿原地区医師会等と連携し、健診の機会を増やすとともに、特定健診やガン検診等の各種健診を組み合わせた集団健診「あすか健康プロジェクト48(AKP48)健診等」を実施し、生活習慣病や各種疾病の早期発見・早期治療に努めるとともに、個々に対応した保健指導を行い、重症化予防に努めてまいります。また、生活習慣病予防教室や大字健康づくり教室等を開催し、村民の健康意識の高揚を図ってまいります。
一方では、医療給付費の継続的な増加に伴い、財政状況が悪化している国民健康保険特別会計については、国民健康保険被保険者に応分の負担を求めるなどにより、財政の安定化を図ってまいります。
母子保健及び児童福祉では、安心して子どもを産み、健やかに育てることができるよう、助産師の同行による妊産婦家庭への訪問指導や訪問員による乳児家庭への育児支援、専門職による健診事業の充実を図るとともに、保・幼・小・中学校及び家庭と連携して、子育て教室を開催し、子育てに関する情報提供や相談が受けられる体制の充実に努めてまいります。また、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンなど各種予防接種事業により感染症予防に努めてまいります。
子育てと仕事の両立のための支援については、中学3年生までの子ども医療費助成や保育料の軽減を引き続き実施し、子育て家庭にかかる経済的負担の軽減を図ってまいります。また、放課後児童クラブの運営にあたっては、対象学年を1年繰り上げ、1年生から4年生とし、「総合型スポーツクラブ」と連携することにより、子育て家庭が安心して子どもを預け働くことができるよう利用拡大を図ってまいります。加えて、出産や疾病・介護等での一時的な利用にも対応することで、子育てにかかる経済的負担や物理的制約の軽減に努めてまいります。
次に、高齢者福祉です。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域包括支援センターを中心として社会福祉協議会や医療機関、各社会福祉施設などの関係機関と連携して研修会やケース会議などを実施してまいります。また、介護保険については、介護保険法の改正に基づく地域支援事業の充実と介護予防給付の見直しを図り、第6期の「介護保険事業計画」の策定してまいります。
次に、障がい者福祉です。障がいのある方が生きがいや目標をもって生き生きと暮らし、障がいのある人もない人も共に暮らせるよう、一人ひとりのニーズに応じた各種福祉サービスの提供や日常生活用具の給付により生活支援の充実を図り、関係機関と協力して相談支援体制の充実に努めてまいります。
次に、教育・文化の振興です。近年、急激に少子化が進んでおり、明日香村の子どもたちにとって、地域での外遊びなどが行い難い状況となっており、持久走などの基礎体力の低下、人間関係調整能力などの社会性の低下などが懸念されています。子どもたちが、生きる力と豊かな心を育み、健全な体と郷土への誇りを持って成長できるよう、学校・家庭や地域の人々とが協働して、地域全体で子どもたちを育てていく地域の教育力を醸成していくとともに、幼・小・中の12年間を見通した教育方針・指導体制の下で、一貫性のある教育課程を充実することにより、子どもたちの学習環境を底上げしたいと考えています。
加えて、生涯学習分野では、「明日香村生涯学習振興指針」に基づき、様々な活動を展開することを基本としており、例えば文化芸術の振興を図るための活動支援として、芸術家への発表の場を提供してまいります。また、「総合型地域スポーツクラブ」においては、スポーツ環境の提供と健康増進の支援を充実してまいります。また、小学生が日常生活空間の中で、社会性を養えるよう「通学合宿」や「フォト・トライアスロン」を展開するとともに、中学生による「明日香の風」、「日韓のかけ橋」、また高校・大学生には留学奨励金を交付し、社会性の向上、国際感覚の醸成、深化を図ってまいります。
次に、防災力の向上です。平成25年度の「奈良県地域防災計画」の見直しに伴い、「明日香村地域防災計画」を策定してまいります。災害発生時において、災害応急対策を円滑に行うため、防災訓練及び奈良県との共催による林野火災消火訓練を実施するとともに、災害用備蓄物資等を整備し、地域における防災力の向上を図るため、自主防災組織の結成や防災資機材の整備などの支援を継続して行ってまいります。
さらに、防犯力の向上ですが、自主防犯組織である「明日香村地域安全パトロール隊」の活動に対して支援を行うとともに、防犯灯の設置など、安全で安心な地域社会の実現と防犯力の更なる向上を図ります。

 

 第3に「若者らが住みやすく活動しやすい地域の活性化」です。
初めに、定住促進ですが、少子高齢化や若者の流出などにより、村の総人口減少が続いており、地域の活力維持と多様な年代が快適に住み続けられるむらづくりの対応が喫緊の課題となっています。
この課題を解消する施策として、明日香村に相応しい景観創出を前提として、市街化区域内において、周辺に波及効果を及ぼすような住宅供給モデルをつくってまいりたいと考えています。また、空き家・土地バンク制度での移住希望者への情報提供をさらに充実させ、既存集落への人口誘導、地域活力の維持・向上を図ってまいります。
次に、農業振興ですが、現在の農業を取り巻く環境は、農業従事者の高齢化、担い手の減少、耕作放棄地の拡大等が急速に進み、景観保全の観点からも大きな課題となっています。国においては、「農林水産業・地域の活力創造プラン」がとりまとめられ、「農地中間管理機構の創設」、「経営所得安定対策の見直し」、「水田フル活用と米政策の見直し」、「日本型直接支払制度の創設」の4つの改革が示されたところであり、本村におきましても制度を最大限に活用し、農業者の営農意欲の向上を図るとともに、農業生産に不可欠な農道や用水路の維持・補修等、集落単位による活動を支援することにより、耕作放棄地や農地の遊休化の解消に努めてまいります。
更に、新規就農者等への支援として、青年就農給付金制度を活用し、就農意欲の高い元気な若者の積極的な受け入れを継続して推進するとともに、担い手への営農相談や巡回指導、情報提供の充実を図るため、農業委員会をはじめ、地域振興公社、農事組合法人等との一層の連携強化を推進してまいります。

 

 第4に「歴史・文化・景観からの「明日香まるごと博物館づくり」」です。
初めに、美しい村づくりについてです。明日香村にふさわしい景観創出のため、ボランティア等と連携し、村内や河川の清掃活動、並びに、田園景観の修景に取り組んでまいります。
次に、村内の公共交通については、観光客・住民に快適で利便性の高い交通環境を確保するため、より効率的な運行に向けた実証実験の計画策定を進めてまいります。
次に、文化財の保存と活用です。地域に存在する文化財を、指定・未指定にかかわらず幅広く捉え、その周辺環境も含めて総合的に保存・活用していくため、「歴史文化基本構想」を策定してまいります。また、文化財調査による新たな成果については、適切な保存を講じるとともに、明日香村で発掘された出土遺物の展示の充実を図ってまいります。更に、埋蔵文化財を身近に感じ、興味・関心を高めるため、小学生による発掘体験を実施してまいります。
また、飛鳥における中核遺跡である飛鳥宮跡については、来訪者が遺跡をより知ることができ、飛鳥時代を体感できるような保存・活用整備に向けて、奈良県や国に働きかけを行ってまいります。また、高松塚古墳壁画及びキトラ古墳壁画の保存対策につきまして、万全な措置が講じられるよう引き続き文化庁に要請するとともに、高松塚古墳壁画につきましては、将来、古墳と一体的な展示がされるよう、地区内での保存・展示施設の設置に向けて国へ要望してまいります。
また、飛鳥の魅力を広く発信する事業として、昨年に引き続き短期滞在型の芸術作品創作活動(アーティスト・イン・レジデンス)を展開してまいります。制作期間中、地域住民との交流を深め、地域の活性化にも寄与してまいります。
さらに、この春4月22日から5月18日迄の期間、東京国立博物館で開催される特別展キトラ古墳壁画に併せて、観光客の誘客と飛鳥の魅力ある情報の発信を図るため「飛鳥―キトラ2016―」を開催し、飛鳥のPR展示、講演会の開催、地域芸能の紹介を行ってまいります。
次に、世界遺産登録に向けた取り組みについては、世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会を中心に、普遍的価値の証明に向けて、国内外の専門家による国際専門家会議を開催するとともに、包括的保存管理計画を含めた推薦書原案の作成準備など、登録に向けた条件整備を進めてまいります。また、機運醸成を図る講演会等の普及啓発など、登録に向け取り組んでまいります。
次に、観光振興の活性化です。明日香村の魅力を五感で感じることができる「明日香まるごと博物館づくり」の実現に向け、積極的な観光振興施策を展開してまいります。
明日香ニューツーリズム協議会と連携を図り、地域の特性を活かした新たな体験交流型観光事業(国内外の教育旅行)を展開し、村民の収益向上と来訪者との交流による観光振興を図ります。また、明日香村を起点とした広域観光連携にも着手し、観光商品の造成を図ってまいります。
春秋の観光キャンペーンの核として、光の回廊、彼岸花祭り等の誘客イベントを実施するとともに、11月~12月までの間、草月流奈良支部とタイアップして、村内箇所での展覧会を開催します。

 

 第5に「村民及び各種団体等との協働事業」です。
地方分権、地方主権の進展により、住民に身近な基礎自治体である市町村の果たすべき役割がますます重要となっていると言われています。新たな行政課題や村民の多様なニーズに即応するために、車座集会「明日香座」による村民との対話などを進め、村民と行政との協働によるむらづくりを積極的に推進します。また、効果効率的な行政運営を継続するため、平成26年度で計画が終了する「明日香村第2次行財政改革プラン」に引き続き、総合計画との整合、実効性のある組織体制、健全な行財政運営を踏まえた新たな行財政改革の5ヶ年計画を策定してまいります。
大学等との連携・協働では、大学が有する人材、知識、経験等を活用し、観光、福祉、教育など各分野での施策と連携を深めてまいります。奈良県立大学では教育旅行の歴史ガイドツアーの企画運営やイベントへのボランティア参加、関西大学では年間を通じた講演会の開催や景観保全のためのボランティア活動など、様々な取り組みを推進してまいります。

 

 以上、平成26年度の村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げたところです。本方針に基づき、提案させて頂いた平成26年度予算案をはじめ、各議案につきましてご審議の程よろしくお願いいたします。

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