お問い合わせ窓口:明日香村役場
平成27年明日香村議会第1回定例会において、平成27年度の予算並びに諸議案のご審議を頂くにあたり、村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げ、議員各位並びに村民の皆様のご理解とご協力をお願いするものであります。
さて、第三次安倍内閣においては、戦後以来の大改革をスピード感をもって、推進していくとしており、1.復興の加速化 2.経済再生 3.地方創生 4.「女性が輝く社会」の実現 5.教育の再生 6.暮らしの安心の確保7.外交・安全保障の立て直し などを掲げているところです。
国の平成27年度一般会計の総額案は96兆3,420億円で、前年度と比べ4,596億円の増額予算となっていますが、単年度におけるプライマリーバランスが依然図られていない状況であり、国債発行額の残高は平成26年度末で780兆円になる見込みで、国の財政状況が村政に大きな影響を及ぼす可能性が懸念されます。
一方、本村を取り巻く状況としては、人口は今年2月28日現在5,766人で、高齢化比率は34.8%となり、若年層の村外流出、空き家や耕作放棄地の増大など、従前より懸念されてきた課題がより顕在化しています。村としては、中長期的視野に立ち、新たな施策展開を機動的かつ弾力的に推進することが必要と認識しています。
平成27年度の予算編成におきましては、引き続き規律ある財政運営を堅持し、将来負担の軽減を図りながら、折り返しに入る第4次明日香村総合計画の着実な推進と、“歴史的風土創造的活用事業交付金"の後期5カ年計画などにより『明日香村まるごと博物館』づくりを推進します。
特に、村民のくらしの安全安心に関わる防災や福祉等の施策への取り組みを継続し、定住・農業・観光などの地域活性化に関わる施策では、より効果的、具体的な事業や新たな取り組みを展開していくこととしています。
さて、本村の平成27年度当初予算案の概要につきまして、説明申し上げます。平成27年度の一般会計の予算総額は、34億円で、前年度比5億2,800万円、13.4%の減となっています。また、一般会計、7特別会計及び水道事業会計の合計9会計を合算しますと、59億1,218万円となり、前年度比3億4,608万円、5.5%の減となっています。
初めに「第4次整備計画事業の推進」です。
折り返しに入る中間年度を迎えるに当たり、平成26年度では国の審議会(社会資本整備審議会 歴史的風土部会 明日香村小委員会)により、その成果と課題が検証されました。
その中で、歴史的風土創造的活用事業交付金の必要性や、これまでに住民対策や地域振興に与えた影響に鑑み、その継続が国土交通大臣に答申され、新年度予算に計上されたことは、国の厳しい財政状況を考えると、村にとって収穫であったと認識しています。
さて、整備計画における道路整備については、村道地ノ窪線の道路改良の早期完了を目指すとともに、より安全・安心・快適に通行できるよう幹線道路から集落内道路に至るまで、計画的な整備促進に努めてまいります。その際、周辺環境に配慮しながら歴史的風土や景観と調和する整備を行ってまいります。
次に、水道事業については、効率的な運営に努めるとともに、安全で安定した水の供給を図るため、新配水池からの管路整備を実施してまいります。
また、下水道事業については、清潔で暮らしやすい生活環境の改善と、河川等の水質汚濁防止を図るため、引き続き事業を推進するとともに、水洗化率向上にむけ啓発に努めてまいります。
第2は「村民の安心安全な暮らしの推進」です。
初めに、環境衛生対策については、ごみ処理施設の適正な維持管理に努めるとともに、廃棄物の減量、再利用、再資源化を推進してまいります。また、し尿については、引き続き陸上処理を行い、生活環境の保全と公衆衛生の向上に努めてまいります。
次に、医療・健康づくりについては、村民の皆様が健康で生き生きと暮らせる村づくりの実現を目指し、国保診療所及び奈良県立医科大学並びに橿原地区医師会等と連携し、健診の機会を増やすとともに、特定健診やガン検診等の各種健診を組み合わせた「集団健診」「AKP48フォロー健診」を引き続き実施します。また、地域医療連携事業の第2弾として、本年度は対象を40歳以上に拡大し、身体活動量測定検査の結果から、生活習慣病を引き起こす要因を壮年期から見つけ、その予防対策を図って参ります。加えて、個々に応じた保健指導を行い、重症化予防に努めるとともに、健診未受診者に対しては再勧奨の指導を行い、村民の健康意識の高揚を図ってまいります。
母子保健及び児童福祉では、安心して子どもを産み、健やかに育てることができるよう、妊娠時からの助産師訪問や産後ケア・こんにちは赤ちゃん訪問員による乳児家庭への育児支援・専門職による健診事業等を引き続き実施するとともに、平成27年度からは育児不安を抱えた家庭に対して、ヘルパー派遣などの養育支援訪問事業を実施し、妊産婦期からの切れ目のない支援の充実を図って参ります。
子育てと仕事の両立のための支援については、中学3年生までの子ども医療費の助成や保育料の軽減を引き続き実施し、子育て家庭にかかる経済的負担の軽減を図ってまいります。また、放課後児童クラブの運営にあたっては、現行の小学校4年生までから、小学生全児童へと対象を拡大し、子育て家庭が安心して子どもを預け働くことができるよう努めてまいります。加えて、出産や疾病・介護等での一時的な利用にも対応することで、子育てにかかる負担の軽減に努めてまいります。
次に、高齢者福祉です。団塊の世代が75歳以上となる平成37年に向け、高齢者が住み慣れた地域で介護が必要になっても安心して暮らせるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援を一体的に提供する地域包括ケアシステムの構築を図ることが喫緊の課題です。よって、健康福祉センターの浴場を中心とした指定管理は、平成27年度より民間業者が行うこととし、明日香村社会福祉協議会は、介護予防や生活支援サービスの体制づくりを強化するため、地域のニーズ把握やシルバー人材センターの再構築などを進め、地域福祉の向上を図る中核的な担い手の役割に専念することとなります。
また、第6期の介護保険料については基準額の改定は行わず、所得に応じた保険料段階を現行の6段階から9段階に細分化し、より所得に応じたきめ細やかな保険料に見直すことと致しております。
次に、障がい者福祉です。障がいのある方が生きがいや目標をもって生き生きと暮らし、障がいのある人もない人もともに暮らせるよう、一人ひとりのニーズに応じた各種福祉サービスの提供に努めてまいります。また、日常生活用具の給付により、生活支援の充実を図り、関係機関と協力して相談支援体制の充実に努めてまいります。
次に、防災力の向上です。平成26年度に策定した「明日香村地域防災計画」の実効性を高めるため、防災訓練の実施、災害用備蓄物資などの整備等を実施するとともに、自主防災組織の結成や地域の防災資機材の整備などの支援を継続して行ってまいります。
さらに、防犯力の向上ですが、ひきつづき、自主防犯組織である「明日香村地域安全パトロール隊」の活動に対して支援を行うとともに、防犯灯の設置など、安全で安心な地域社会の実現と防犯力の更なる向上を図ります。
第3に「若者らが住みやすく活動しやすい地域の活性化」です。
初めに、少子高齢化や若者の流出などにより、村の総人口減少が続いており、地域の活力維持と多様な世代が快適に住み続けられるむらづくりが喫緊の課題となっています。
まず若者が住み続つづけるためには、教育・文化の振興が重要です。近年、の少子化により、明日香村の子どもたちにとって、地域での外遊びなどが行い難い状況となっており、柔軟性や持久力などの基礎体力の低下、規範意識や人間関係調整能力などの社会性の低下などが懸念されています。子どもたちが、生きる力と豊かな心を育み、健全な体と郷土への誇りを持って力強く成長できるよう、教育委員会と首長が意思疎通を図り、地域教育の課題を共有し解決する「総合教育会議」を設置します。また、学校・家庭や地域の人々とが協働して、社会で自立できるための「生きる力」をもった子どもたちを育てていく地域の教育力を醸成していくとともに、幼・小・中の12年間を見通した教育方針・指導体制の下で、一貫性のある教育課程を充実することにより、子どもたちの学習環境を底上げしたいと考えています。また、日常生活の中で、社会性を養えるよう「通学合宿」や「土曜学習塾」、「あいさつ運動」を展開するとともに、「明日香の風」、「日韓のかけ橋」や留学奨励金を交付し、明日香村に根付いたグローバル人材の育成と国際理解教育の充実を図ってまいります。
また、文化芸術による地域交流の活性化を図るため、村にかかわる芸術家への発表の場の提供(クリエイティブ飛鳥)や、飛鳥をモチーフにした新たな芸術文化の創出(アーティスト・イン・レジデンス)を幅広く行ってまいります。「総合型地域スポーツクラブ」においては、スポーツ環境の提供と健康増進の支援に努めてまいります。
さらに定住促進策として、市街化区域内公共用地において、周辺に波及効果を及ぼすような住宅供給モデルをつくるため、例えば事業者によるプロポーザルを行うなど、年度末には事業着手できるよう計画を策定としたいと考えています。
併せて、地方創生や施設リノベーションの観点から、空き家改修、民家リノベーションによる補助制度の拡充を図り、移住や起業を推進してまいりたいと考えています。
また、村内消費を促すため、プレミアム商品券の発行を予定しております。
さらに、明日香村の地域活性化施策としての農業振興ですが、農業就業者の高齢化、担い手となる若年層の減少と農産物などの価格低迷が相まって、農業経営意欲は低下し、耕作放棄地は拡大し、景観保全の観点からも大きな課題となっています。国においては、「経営安定化対策の推進」、「農地中間管理機構の創設」、「水田フル活用と米政策の見直し」、「日本型直接支払制度の創設」等農業改革を推進しており、本村においても制度を活用し、農業者の営農意欲、所得向上に繋がる施策を進めてまいります。
さらに、新規就農者等への支援として、青年就農給付金制度を活用し、就農意欲の高い元気な若者の積極的な受け入れを継続して推進してまいります。
また、村内で就農者を育成するための講座の開催、担い手への営農相談や巡回指導、情報提供の充実を図るため、農業委員会をはじめ、地域振興公社、農事組合法人等との一層の連携強化を推進してまいります。
また、有害鳥獣による農作物被害を防ぐため、奈良県と連携し、獣害防護柵の設置を進めるとともに、個体駆除体制の強化を目指し、捕獲檻の増設、捕獲資格取得への支援等に取り組んでまいります。
第4に「歴史・文化・景観からの「明日香まるごと博物館づくり」です。
初めに、『飛鳥・藤原』の世界遺産登録については、条件整備や情報発信などに努めるとともに、文化庁の新規施策である『日本遺産』の認定をめざし、地域振興の推進を行ってまいります。
また、これまでに策定した文化財の総合管理計画や歴史文化基本構想を踏まえ、課題である「見える化」「体感」を意識した文化財の保存と活用を図ります。具体的には、飛鳥の中核遺跡である飛鳥宮跡については、県と連携し史跡の追加指定及び公有化を促進し、牽牛子塚古墳につきましても保存・活用整備にむけ、公有化を図ってまいります。また、高松塚古墳壁画につきましては、地区内での保存・展示施設の設置に向けて国へ要望してまいります。
観光振興については、明日香ならではの体験交流型観光として、国内外からの教育旅行等の誘致を推進するとともに、ポータルサイトや、あすかナビの充実を図り、あわせて飛鳥地方での徒歩観光のための統一的な案内サインを国等と協働して整備してまいります。
春秋の観光キャンペーンの核としては、光の回廊、彼岸花祭り等の誘客イベントを実施するとともに、従来のイベントの点検を行い、組織の再編を図るなど、内容充実に努めてまいります。
さらに、平成28年度秋、開園予定の国営飛鳥歴史公園キトラ古墳周辺地区と連動した来訪者の底上げを図るため広報展開を強化します。
次に、美しい村づくりについてです。明日香村にふさわしい景観創出のため、ボランティア等と連携し、村内や河川の清掃活動、田園景観の修景に取り組んでまいります。
また、村内の公共交通については、観光客・住民に快適で利便性の高い、持続可能な公共交通体系を構築するため、より効率的な運行に向け、実証実験を行ってまいります。
第5に「村民及び各種団体等との協働事業」です。
新たな行政課題や多様なニーズに即応するために、村民との対話などを進め、協働によるむらづくりを積極的に推進します。また、効果効率的な行政運営を継続するため、「明日香村第3次行財政改革プラン」を踏まえ、総合計画との整合を図りつつ、実効性のある組織体制づくりや健全な行財政運営のためのアウトソーシング等による行財政改革を推進してまいります。
大学等との連携・協働では、大学や企業が有する人材、知識、経験等を活用し、観光、福祉、教育など各分野での施策と連携を深めてまいります。関西大学、奈良県立大学、東京大学、京都大学、天理大学、奈良県立医科大学等と社会連携し、より一層の効果的・継続的な取り組みを進めてまいります。
以上、平成27年度の村政運営に関する基本的な考え方と新年度における施策の大綱を申し上げたところです。本方針に基づき、提案させて頂いた平成27年度予算案をはじめ、各議案につきましてご審議の程よろしくお願いいたします。
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